Topics 一覧へ

最高裁判決の紹介です。
通行地役権者が承役地に車両を恒常的に駐車させている者に対し車両の通行を妨害することの禁止を求めることができるとされた事例です。詳しくはこちら
新聞報道によると
神戸市内の自治会所有の私道を通行する権利を持つ男性が、私道に路上駐車していた車の所有者を相手取り、「通行の邪魔になるから車を移動してほしい」として、通行目的以外の私道の使用差し止めを求めた訴訟の判決が29日、最高裁第3小法廷であった。上田豊三裁判長は、原告側敗訴の1、2審判決を破棄し、原告側の請求を認める逆転判決を言い渡した。公道と違い、原則として警察による取り締まりが不可能な私道の路上駐車を巡る判決は、同様のトラブル対処に影響を与えそうだ。
 原告は神戸市に住む弁護士の男性。男性の住宅から公道に出るには必ずこの私道を通らなければならず、住宅購入時に私道を通行する権利である「通行地役権」を取得していた。
 判決は、この私道が公道と住宅を結ぶ通路として開設された舗装されており通路以外の利用が考えられない――などの特徴を持つと指摘。そのうえで「こうした(生活道路に設定された)通行地役権は、道全体を自由に使用できる権利である」と初判断を示し、「現場に恒常的に車を駐車して独占的に使用することは許されず、通行地役権者はこうした行為の禁止を求められる」と結論づけた。

1、2審は「駐車車両があっても通行可能な道幅が3メートル以上残っており通行に支障がない」と訴えを退けた。このため、男性は「使用できる道幅を制限するのは不合理」と主張していた。 判決について、ある警察幹部は「同様のトラブルは多いが、通報を受けても車の持ち主に警告するのが精いっぱい。裁判所の判断は興味深い」と話した。と報道されています。

2005/3/30

@「保証料ヤミ金」と呼ばれる新たなヤミ金手口の紹介です。東京新聞のHPによると・・・ 貸金業者がお金を貸す際に、「保証料」という名目で多額な上乗せ利息を取るケースが関西地方で出ている。出資法では金利の上限を規制しているが、保証料は対象外。法のすき間を突くヤミ金融の新たな手口とみられ「保証料ヤミ金」という呼び名も。返済に困る多重債務者は、それでも手を出してしまう。全国に広がる恐れもあり、多重債務者の救済活動をしている弁護士や司法書士らは「保証料にも法規制が必要だ」と訴えている。大阪府内の会社員Aさん(52)は、家族に内証の借金が膨れあがり、貸金業者十三社から、約五百万円に達していた。返済のために他から借りる悪循環の結果だった。精神的に追いつめられ、昨年十一月、首つり自殺を図ったが、幸いロープが切れて命拾いし、借金の清算を決意して司法書士の事務所を訪れた。頭に包帯を巻いたAさんに司法書士は驚いたという。司法書士が借金の中身を点検すると、借りた先に「保証料」を取る金融会社が五社含まれていた。いずれもスポーツ紙の広告を見て借りたという。そのうちの一社・B社との取引をみると、一週間単位の短期間で、借金、返済を繰り返し、そのたびに保証料を取られていた。最初の取引は、昨年七月。十万円を出資法上限金利の年29・2%で借りて、一週間後に一括返済する契約を結んだ。だが、一万八千円の保証料が天引きされて、Aさんが実際に受け取った額は八万二千円だった。B社の社員は「返済ができなくなったときは、保証会社のC社が肩代わりする」と説明した。Aさんは、八日後に金利を含め十万千二百円を一括返済したが、他社への返済に追われていたため、その場であらためて十万円を借り、保証料を差し引いた八万二千円を受け取った。以後、ほぼ一週間ごとに、十万千二百円の返済と八万二千円の受け取りを繰り返した。
司法書士は「通常、保証会社は契約を審査したうえで保証するものだが、このケースでは審査がないままB社の人間が保証料と称する金の受け取りを行い、領収書も手渡した。B社とC社は実質的に同一業者といえる」と、問題点を指摘する。保証料の分を実質的な利息とみれば、年1000%を超えることになり「極めて悪質な脱法行為だ」と憤る。AさんはB社やC社を相手に、損害賠償請求の訴訟を起こすつもりだ。B社は「保証しているのは完全な別会社だから保証料は利息とみなされない。出資法に違反せず合法だ」と反論する。
常識的には借りない契約でも、わらをもすがる思いで飛びついてしまうのが多重債務者の心理。それにつけ込んだ「保証料ヤミ金」の手口は2002年ごろに登場したようだ。多重債務者を救う活動をしている市民団体「大阪いちょうの会」の事務局長を務める田中祥晃さんは「同様な手口は20−30社ぐらいがやっているようだ」と話す。
昨年九月には、大阪府内の男女四人が府内の貸金業者など四社を「保証料ヤミ金」だとして総額約三百三十五万円の支払いを求める訴訟を大阪簡裁に起こした。 
融資には法律の上限金利があり、貸金業者については貸金業規制法がある。一方、保証料には上限を定める法規制はないうえ、保証会社を規制する法律もない。

そこを突いたのが保証料ヤミ金。ヤミ金融の新手口が大阪から全国に広がることが多い事情もあり、弁護士や司法書士らは「こんな手口がやれないように法改正をしてほしい」と話す。困っているのは、大阪府の貸金業対策課も同じ。こうした手口の業者に関する相談は多いが、現在の法制度では業者を行政処分しにくい面があると言う。「保証料や保証会社についての法整備が必要だと金融庁に伝えてある」と説明している。
Aライブドアvsフジテレビの法廷での争いについてロイターの記者が要領よくまとめていますので紹介します。
フジテレビを割当先とするニッポン放送の新株予約権発行を差し止めた東京地裁の仮処分決定について、東京高裁はライブドアの主張を認め、ニッポン放送の増資計画はとん挫することになった。ニッポン放送買収劇の舞台裏では仮処分申請をめぐって、弁護士や学者の意見書の争奪戦が繰り広げられた。 
<舞台裏で弁護士、学者意見書の争奪戦>
 
双方の主張をバックアップするにあたり、法律関係者の意見も真っ二つに分かれた。
 
フジサンケイグループは、裁判に入る前の段階から企業の合併・買収(M&A)に詳しい弁護士や大手弁護士事務所を押さえ、ニッポン放送は中村・角田・松本法律事務所を法廷闘争代理人(代理人代表=中村直人弁護士)につけた。
対するライブドアが代理人につけたのは三井法律事務所で、代理人代表は三井拓秀弁護士が務めた。中村弁護士、三井弁護士ともに、ニッポン放送の社外取締役で日比谷パーク法律事務所の久保利英明弁護士の下で働いた経歴を持つとされる。代理人の獲得だけではない。今回は弁護士事務所の依頼を受けて学識者が裁判所に提出する「意見書」でも対立が鮮明になった。ニッポン放送、ライブドアとも、「意見書は10人から15人かき集めて書いてもらった」(ライブドア幹部)という。 
ニッポン放送側の顔ぶれには、商法や証券取引法の大家で現役の東京大学教授をまじえた大物学者が含まれる。日本全国、西の大学から東の大学までを網羅する勢いだ。
ニッポン放送の意見書を書いたひとり、早稲田大学の上村達男教授は、「ライブドアはそもそも資本市場を踏みにじっている」と語る。 
上村教授は、「商法上、会社は誰のものかと問われれば株主のものだが、証券取引法や資本市場の観点からみた場合、ライブドアが行っていることはおかしい。立会外取引(ToSTNeT1)でニッポン放送株を大量取得したのを認めてしまうのは、裏口入学を正規入学と認めるようなもの。明らかに証券取引法に違反する」と指摘する。
 
もうひとりの学者も、「ToSTNeT1は、東京証券取引所の立会外取引の一種であるところ、価格優先の原則も時間優先の原則もいずれも適用がなく、他の当事者の取引参加の機会はないため、競争売買としての要件を全く欠如している。実質的に相対取引である」と意見書のなかで明記。
「証券取引法27条2にいう取引所有価証券取引での取引とは認められないのであって、ライブドア・パートナーズの本件株式取得は、同法に違法するものといわねばならない」と主張していた。 意見書を書いた学者の間で大きく意見が分かれたのが、この株式公開買付け(TOB)で立会外取引(ToSTNeT1)を使うことを証券取引法違反とみるか否か、という点。「現行法上、立会外取引を適法という前提で(ニッポン放送の)巨額増資の合理性を問うか、または、そもそも違法な取引だからライブドアは大株主としても認められないとみるか、論点の出発点からくい違いがあった」(法曹関係者)という。
ライブドアの意見書を書いた多くの学者は、ニッポン放送の意見書を書いた大物学者の教え子。恩師に対抗する立場で意見書を書くことになったため、「最初はやはり少々つらい思いがあった」と打ち明ける学者もいた。
 <企業買収に一定の基準も> 
今回の高裁判断のもうひとつの大きな特徴は、何が「企業価値の毀損(きそん)」にあたるか、明確な4つの例を示した点だ。今後、日本の企業の買収防衛策を策定する際の1つのベンチマークになる可能性もある。

地裁でも「企業価値」は大きな焦点だったが、高裁は、1)買収者がグリーンメーラーのように、株価をつり上げた後に高値でその株を関係者に引き取らせる場合、2)会社を一時的に支配し、知的財産、ノウハウ、秘密情報、主要取引先や顧客などを奪う目的の場合、3)会社支配後に、その会社の資産を買収者の債務の担保や弁済減資として流用する目的の場合、4)会社を一時的に支配し、事業とは無関係の不動産、有価証券などを処分し、一時的な高配当や株価の急上昇を狙い株式を売り抜けることが目的の場合──の4つの場合、には「対抗手段として必要性や相当性が認められる限り、経営支配権の確保のため新株予約権を発行するのが正当」と明示。専門家も、「企業買収における新たな興味深い判例となった」(大杉謙一・中央大学法科大学院教授)と評価する。 
<企業価値、判断は株主に>
 
企業価値をどうみるかについては、当初、ニッポン放送が、ライブドアが支配権を握るとフジサンケイグループからの離脱を招き「失われる収益の現在価値を算定すると、550億─1450億円に上る」と数値を示したのに対し、地裁が、ニッポン放送とライブドアのどちらの事業計画が合理的かの判断は「株主によってなされるべきである」と結論づけていた。
 
今回、高裁は、「株主や株式取引市場の事業経営上の判断や評価にゆだねざるを得ない事項」と指摘。さらに、「司法手続きの中で裁判所が判断するのに適しない」と断言し、被買収企業の企業価値が買収者の経営権獲得によって毀損されるか否かの判断を、あらためて株主にゆだねた。

2005/3/25

少額訴訟制度を悪用した架空請求についての裁判例の紹介です。読売新聞のホームページによると
 訴えられた場合に放置していると、ただちに敗訴してしまう少額訴訟を起こされ、身に覚えのない出会い系サイトの利用料など約14万円の支払いを請求された男性会社員(22)(東京都)が、サイト運営業者(大阪市)に対し、「架空請求の訴訟で精神的な苦痛を受けた」として110万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。
 清水克久裁判官は「裁判制度を悪用した、極めて悪質な訴訟詐欺だ」と認定し、40万円の賠償を命じた。同時に、問題となった少額訴訟の判決も言い渡され、清水裁判官は運営業者の請求は架空だったと判断し、請求を棄却した。
 判決は、運営業者が少額訴訟に先立ち「(踏み倒したら)刑事告訴する」などと脅し文句を並べた督促状を会社員に送りつけていたことなどから、運営業者の一連の行為を「会社員を畏怖(いふ)させ、金を支払わせるための恐喝行為」と指摘した。
 少額訴訟は、60万円以下の債権を簡易に回収する目的から、原則1回の口頭弁論で判決が出る制度で、請求された側が答弁書を出さずにいると、相手の主張を認めたとみなされ、支払いを命じる判決を受けてしまう。
 通常の架空請求は無視すればいいが、少額訴訟を利用された場合には、無視するとかえって不利益を被る可能性があり、法務省などがホームページで、「弁護士などに相談し、きちんと裁判で反論して欲しい」と注意を呼びかけている。

2005/3/23

以前トピックスに載せた記事の続報です。
朝日放送及び今日と新聞のホームページによると
強盗傷害事件の被害者に嘘の証言をさせたとして、偽証の罪に問われた弁護士に対し、京都地裁は執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。
判決を受けたのは、京都弁護士会所属の金京冨被告(46)。京都地裁楢崎康英裁判長は「司法への挑戦といえる悪質な犯行。弁護士への信頼を裏切り悪用したが、主導的ではなかった。反省もしている。」として懲役2年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。判決によると、金被告は暴力団組員3人が会社社長に暴行し約2000万円を奪った強盗傷害事件で、3人の弁護人に選任された。しかし名古屋市の暴力団組長(56)=同罪で実刑判決、控訴=の仲介で社長と3人の間で「手打ち」が成立したのに社長が被害届を出し、3人が逮捕されたことから、組長らが金被告に偽証の協力を依頼。金被告は一昨年9月に地裁で開かれた公判で、社長に「一方的に暴行を受けていない」とうそを証言させた。
楢崎裁判長は「社長が真実を証言した後も、おく面もなくそれを論難する弁論をしたことに一片の良心も感じられない。偽証への加担を思いとどまる機会はあった。なぜ弁護士としてできないと言えなかったのか。刑事弁護士の豊富な実績があるのに、偽証への関与に葛藤(かっとう)が感じられないのは理解に苦しむ。実刑も考えられる犯行だ」と述べた。
金被告は逮捕後に退会届を出したが、京都弁護士会は留保する一方、金被告を懲戒手続きに付して調査中。

2005/3/8